〜が〜に〜を〜する
といったタイプの二重目的語文を考えてみよう。
スポーツ大会で優勝者に大会会長から記念品が贈呈されその際にファンファーレが鳴ったという状況があるとする。
そのときの、
(1) 会長は優勝者に記念品を贈呈した。その際にファンファーレが鳴った。
という文から、
記念品贈呈の際に、ファンファーレが鳴った。
とは言えても
*優勝者贈呈の際に、ファンファーレが鳴った。
とは言えないことが分る。(*は言えないという印)
このような場合、単に位置的にではなく構造的に「記念品」と「贈呈」が接近しているのに対し「優勝者」と「贈呈」は離れた関係にあるからだとされる。(注1)
ところが、例えば、学校が保護者に緊急事項を連絡してその際にミスが起きたという状況の、
(2) 学校は保護者に緊急事項を連絡した。その際にミスが起きた。
という文からは、
緊急事項連絡の際に、ミスが起きた。
保護者連絡の際に、ミスが起きた。
のどちらも言えそうである。
文の構造は(1)も(2)も同じであると考えられるのにこの違いはなぜだろうか。
この理由はよく分らないが、構造ではなく意味的な要因が関わってくるからなのだろう。
とりあえずメモとして。
(注1)
「記念品贈呈」といえても「優勝者贈呈」とは言えないので、基本語順は構造的に、〜が〜に〜を〜する、であるという説明がなされることもあるので、そう考えるとこの理由は循環していることになる。