言語においては結合法則は成り立たない

足し算やかけ算では、
(a+b)+c=a+(b+c)
(a×b)×c=a×(b×c)
といった結合法則が成り立つが、言語においてはこうした結合法則は成り立たない。語を線状に足し合わせたのではすまない性質を持っている。
たとえば、
(1) 背の高い少年と少女
といった場合、異なった二通りの解釈がある。
背の高いのは少年だけとする
(2) [背の高い少年]と少女
という解釈と
少年と少女の両方背が高いとする
(3) 背の高い[少年と少女]
という解釈である。
これは言語が階層構造を持っているからである。
(2)の構造は

(3)の構造は

である。
言語にはこのような階層構造があるため結合法則が成り立たないのである。


(追記)
こうした場合、解釈の曖昧さを排除するにはどうしたらよいか。
(2)の解釈なら
少女と背の高い少年
と言い換え
(3)の解釈なら
背の高い少年と背の高い少女
と言い換えればよいわけだが
表現の自然さは劣る。