『徒然草』はなかなか良いことを言っている

先日、『徒然草』のニヒリズムを紹介しましたが、『徒然草』は現代でも通じる良いことも言っています。


第百十六段では
「何事も、珍しきを求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ。」
と言っています。これは解説するまでもないと思いますが、よくありそうなことですね。


第百十七段では
「友とするに悪き者(中略)酒を好む人。」
酒飲みは避けたいですよね。(程度にもよりますが)


第百二十二段では
「金(こがね)はすぐれたれども、鉄(くろがね)の益多きに及(し)かざるが如し。」
つまり、美しいだけの金よりも鉄の方がよほど実用的で役に立つということです。何かの比喩としても使えますね。


第百二十三段の大意は
衣食住に加えて医薬の不足しないことが富めるということだ。
と言っています。これも今でも通じます。


第百二十九段では
「身をやぶるよりも、心を痛ましむるは、人を害(そこな)ふ事なほ甚だし。病を受くる事も、多くは心より受く。」
と言って、精神面の健康の大切さを説いています。身体を傷つけられるよりも心を傷つけられる方がもっとつらいことはありますね。


第百五十段の大意は
芸能を身に付けようとする人は、下手なうちは人に知られないようにして上手になってから披露しようなどと考えてはいけない。下手なうちから上手な人の中に混じって人に笑われても恥じてはならない。
と言っています。これも今でも通じますね。


第百七十五段では、酒席の醜悪でよろしくない様を嘆いています。


このように『徒然草』は現代でも教訓として通じることも多いのです。


新訂 徒然草 (岩波文庫)

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