生成文法樹形図

窓際で寝ていた猫が雀を見つけてカカカと鳴きだした。


という文の構造を樹形図にしてみると下の図のようになる。(クリックで拡大)

記号については、
Nは名詞(Noun)。NPは名詞句(Noun Phrase)。図中の色分けは薄い黄色。
Pは後置詞(Postposition)、日本語の場合は助詞にあたる。PPは後置詞句(Postposition Phrase)。色分けはピンク。
Vは動詞(Verb)。VPは動詞句(Verb Phrase)。色分けは黄緑。
Cは補文標識(Complementizer)、つまり埋め込み文の印。CPは補文(Complementizer Phrase)。色分けは濃い水色。
Advは副詞(Adverb)。AdvPは副詞句(Adverb Phrase)。色分けはオレンジ。
Tは時制(Tense)。TPは時制句(Tense Phrase)。色分けは薄い水色。
記号に’が付いているのは中間的な投射を表す。


この図では「猫が」「雀を」を、それぞれ名詞+格助詞から成る主格と対格(目的格)の語としている。


この例文は一番上の構造に時制の要素を持つ文であることが分る。
修飾要素を取り去るとこの文の骨格は、「猫が鳴きだした。」である。


文の構造において常に二股分かれが繰り返されていくと捉えることをXバー理論といい、この二股分かれは主要部と補部からなり、日本語の場合、主要部は常に右側、補部は常に左側に現れる。
最上層のTPの節のT′の左側の名詞句を指定部という。この指定部が即ち文の「主語」である。この場合は「窓際で寝ていた猫(が)」にあたる。
T′の節の中のVPの中の補部が文の目的語となる。この例文の場合、全体としては自動詞文だから、目的語はなし。


(追記)
上の分析で、「窓際で寝ていた」は一つの文IP(TP)とみなし、その上に発音されない補文標識が存在していると考えた方がいいかもしれない。