フィクション作品では未来はディストピアとして描かれることが圧倒的に多い

フィクション作品(SF小説・漫画・映画・アニメなど)で未来が描かれる時、ディストピアとして描かれることが圧倒的に多い。核戦争や環境破壊で人類は滅亡の淵にいるか、荒廃の中で暴力支配のもとに置かれているか、文明が退化して細々と生きているか、あるいは宇宙戦争に巻き込まれているかの状態で、未来において人間が平和で豊かで極楽のような世界に暮らしているような物語はまずない。一見ユートピアのような世界が出てきても超管理社会だったりする。なぜだろうか。
一つには、極楽のような世界をひたすら描写しても面白くないし、新興宗教でも布教されているような感じだし、悲劇的状況の方が書きごたえ読みごたえがあるのも確かだろう。単なるユートピアよりもディストピアの方がずっと物語性がある。ディストピアを描くことが文明批評や現代社会への警鐘にもなる。
陰謀論的深読みをすれば、人類はいずれ滅亡する運命だ(あるいは未来は悲惨だ)とフィクションで「教育」しておけば、実際に破滅的状況(悲惨な状況)に直面しても受け入れる心の準備ができているような効果を狙って、私利のためなら人類滅亡をも厭わない「闇の勢力」によってディストピアものがメディアを通じて普及させられてきたのだ、なんて考えることもできる。
ユートピアディストピアの系譜については、さらに考察して加筆したい。