若者の車離れについて

以前、若者の何とか離れについて書いたが、そのうちの、車離れについてもう少し考察してみたい。
若者が車を買わなくなった最大の理由はお金、経済的不自由さ、にある、これは間違いない。
そしてもうひとつ、若者にとって車が価値や魅力のある商品でなくなったことも大きな理由だろう。
車に価値や魅力があれば多少お金は苦しくても無理して買うものだ。
地方などで車が生活必需品になっている場合も、若者は軽ワゴン車などの安くて実用的な車種を買い、若者向きだとされていたスポーツカー、クーペ、外車、一頃ハイソカーと言われていたようなステータス誇示型の車は買わない、今、スポーツカーを買うのは高年齢層である。
かつて車の魅力の一つにナンパやがあった。ナンパスポットで愛車を誇示し女の子を誘う、それも今はそんなことをしなくても出会い系などの方法にとって替わられた。かつては車がなければデートもできなかったが、女の子も今は男の車に乗せてもらうことに喜びなど感じなくなった。
車の魅力の一つ、メカいじりの楽しみ。今の若者は理工系離れで、機械などを油まみれになって積極的にいじることに楽しさを感じない、また機械いじりということならパソコンいじりにとって変わられている面がある。
若者はスピードにも憧れなくなった。どんな高性能の車でも現実には速度制限があるから速いスピードが出せるわけもなく、まじめで遵法精神の強い現在の若者は、そんな無意味なオーバースペックの車を買ったりはしない。
若い人の一部に痛車、というムーブメントがある。車体にアニメ・漫画・ゲームのキャラをでかでかと描き、そのオタク的かっこわるさ「痛さ」を競うもので、まさに車のかっこよさやステータスを破壊する行為である。まあ一種のイベントだからこれが現代の若者の車像というほどのものではないが、車はここまで「貶められた」。
車に価値を見いだせなければ、高いお金を払って維持費(そして燃料代)もかかるだけの車を買うわけがない。車をどうしても若い人に売りたければ、車にまつわる古い価値観にとらわれず、21世紀日本にふさわしい新しい価値を提出していく他はないだろう。だが、車なんかどうでもいいという価値観が根付いてしまっているとすれば、もうそれを覆すのは難しいかもしれない。


(追記)
近いうちに軽自動車の税が大幅に引き上げられるような話もあり、車全体で見れば所有や維持のコストがさらにかかるようになると、ますます車離れは進むであろう。


若者の何とか離れとは結局