桜の花と言っても鯛の魚と言わないのはなぜか

桜の花、梅の花、松の木、杉の木、といった表現があります。
しかし、鯛の魚とか蝶の虫とは言いません。桜の花や松の木が、花の仲間である桜、木の仲間である松を表しているとするなら、魚の仲間である鯛や、虫の仲間である蝶のことも、桜の花や松の木と同じように言えてもいいはずなのにそうはなりません。
何が違うのでしょうか。
実は、桜の花、松の木、といった表現が、花の仲間である桜や木の仲間である松を表しているわけではないのではないでしょうか。
桜の花という表現は、桜という集合の要素である花、桜∋花ということを表しているのではないでしょうか。桜という集合には花の他に、葉、実、枝、幹などが属します。同じく、松という集合には、葉、実、木(幹や枝)が属していると考えられます。それを、桜の要素である花、松の要素である木、という意味で桜の花、松の木と言っているのではないでしょうか。花の仲間である桜、木の仲間である松とは発想が逆のわけです。
そうすると、鯛や蝶の場合は、魚類という集合の要素である鯛、虫類という集合の要素である蝶ということになるので、それをひっくりかえした鯛の魚とか蝶の虫とかいった表現はできないことになります。むしろ、魚の鯛、虫の蝶となら言うことが可能でしょう。
このように一見同じように言えそうな表現にも詳しく分析すると違いがあると考えられます。