震災で生じた大量行方不明者の問題は「戸籍上だけに存在する超高齢者」の問題と似ていると思ったこと

不明8千人、懸命の捜索続く 財産処理や相続など難航も


 東日本大震災の発生からまもなく3カ月、警察庁によると9日現在で8146人の行方が分かっていない。行方不明者とその家族は、法と現実のはざまに取り残されたままだ。未曽有の災害は、私たちが当たり前のことと信じてきた社会の礎を揺るがしている。

 今回の行方不明者が最終的に、伊勢湾台風(401人)、阪神大震災(3人)などと比べて桁違いに多くなるのは間違いない。元々、日本の法体系は、一人ひとりの生死がきちんと届け出られていることが想定されている。「生存者」とされる限り、家族であっても勝手に私有財産などを処理できない。被災地を中心に、遺産相続や生命保険受給などをめぐるトラブルが頻発する恐れがある。

 警察当局は、懸命の捜索を続けている。岩手、宮城、福島3県では約2千人態勢で捜索を継続しており、1日に数人から十数人の遺体を発見している。がれきが折り重なった場所や水路など、捜索が進んでいない場所もあり、警察庁の安藤隆春長官は3日にあった全国警察本部長会議で「身元確認率100%を目指し、全力を尽くしていただきたい」と訓示した。

朝日新聞 2011年6月10日3時0分)


日本では、上の記事にもあるように、個人一人一人の生き死にまで戸籍で国家に把握管理されているのが望ましい状態、さらにそうでなければならない状態とする建前があるから、個人の生死が国家で把握できていない事態が発生してしまうと、法的な混乱が起こる以上に国民感情としても落ち着かなくなってしまうことは、去年の「戸籍上だけに存在する超高齢者」続出問題が社会に衝撃を与えた件でも分ったことでした。
しかし、戸籍はしょせん書類であり、現実の完璧な写像にはなりえません。