エレキ=不良

昭和40年代のはじめ頃、エレキギターを使ったロックの流行が日本にも押し寄せた。
教育関係者はエレキは不良になるとしてこれを退けようと必死になった。
この、エレキは不良とか言われていた時代にフォークをやっていた者も「エレキ=不良」観は持っていた。エレキ=商業音楽=堕落、フォーク=純粋、みたいな認識によって、エレキを使ったロックやポップスよりも、アコギで歌うフォークの方が精神性が高いとしたのだ。
その経緯があるから、フォークは学校教育とも親和性が高く、やがてフォークはロックよりもずっと早く教育現場に浸透した。
「エレキ=不良」観はジャズにも存在していて、正しいジャズはアコースティックなジャズであり、電気楽器を導入したジャズは商業主義的堕落であると見られたこともあった。
そしてロックにはシンセサイザーなどの電子楽器も持ち込まれるようになった。
シンセを駆使したテクノポップを引っさげてYMOが現れた時、変な奴らが出てきたとみられても「不良(ワル)」扱いはされていなかった。同時期に不良イメージで売っていたダウンタウンブギウギバンドや横浜銀蝿とは対極的だった。
エレキ=不良だったけど、シンセ=不良のイメージが持たれなかったのは、シンセ開拓者の冨田勲坂本龍一の「知的メージ」の故だろうか。
初期のシンセは数百万円以上はザラで、不良やチンピラが容易く買えるような代物ではなかったから、安価に普及する前はシンセ=金持ち=良家の子女の楽器だったこともあろう。
さらに時代が下り、バンドをやった程度で不良ぶっているなら、むしろ可愛いものとなって、エレキを不良と言うような時代錯誤の者もいなくなった。