騒音みたいなロックが聴きたくなる

鬱状態なって、最近何となく騒音みたいなロックが聴きたい気分になっている。
騒音みたいといってもヘビーメタルとかではなく、ノイズ音楽ほど壊れてもいずに一応楽曲の体をなしているものがいい、ということで、1980年前後のアメリカのノーウェーブといわれたムーブメントの代表的バンド、コントーションズ(ジェームス・チャンス)を聴いている。ギシギシいうギターがかき鳴らされてギクシャクしたフリージャズ風のサックスが吹きまくり、ボーカルが絶叫するというスタイルの音楽で、ファンクの要素も強い。たしかに騒音みたいな歪なロックなのだが実にシャープでエネルギッシュでカッコいいと感じる。
ジェームス・チャンスはジェームス・ブラウンがお気に入りで、ジェームス・ブラウンの名曲「スーパー・バッド」に、ファンクビートの上をフリージャズ風のサックスが吹き鳴らされる間奏部分があるのだが、そんな音楽がやりたかったらしい。
この手の音楽はポストパンクとも呼ばれ、同時期のイギリスのポップグループにも近いが、ポップグループがせっぱ詰まった感じがあるのに対し、コントーションズの方はどこか余裕やユーモラスな感じもあるのがアメリカ的と言えようか。日本だったら暗黒大陸じゃがたらが音楽性が近い。
のちのミクスチャーロックの元祖のような音楽である。
ジェームス・チャンス(1953年生まれ)は初めジャズミュージシャンを志し一応正規の音楽教育を受けているので、一聴フリーキーに感じても単に若者が初期衝動だけで突っ走ったのではない確かな音楽性があると思う。チャンスはジャズに飽き足らなくなってニューヨークのポストパンクシーンに飛び込みノーウェーブのムーブメントを牽引した。





ジェームス・チャンスがコントーションズ名義で1979年に出した傑作アルバム。

バイ(紙ジャケット仕様)

バイ(紙ジャケット仕様)


ジェームス・チャンスがジェームス・ホワイト&ザ・ブラックス名義でこれも1979年に出した傑作アルバム。上の『バイ』よりはいくぶんかポップで聴きやすい。

オフ・ホワイト [紙ジャケット仕様]

オフ・ホワイト [紙ジャケット仕様]


ノーウェーブの代表的なバンドを集めた有名なコンピレーション盤。コントーションズは冒頭に4曲収録されている。最後に4曲収録されているDNAというバンドも騒音具合がなかなかよろしい。

NO NEW YORK

NO NEW YORK


ジェームス・チャンスは現在も活動中で同じような音楽をやり続けているらしい。


(続き)
騒音みたいなロックが聴きたくなる その2