純正調と平均律

西洋音楽の純正調とは、和音がきれいに響く音階で、和音は音同士が単純な整数比であるほどきれいに響くことに基づく。しかし純正調では、ある調ではきれいな和音になる音階でも、別の調に移る時ただ平行移動的に音階を移動するだけでは音同士の整数比例関係が崩れて和音が狂うので、ピアノやフレットのある弦楽器などのような音が全て固定されている楽器には向かない。
そこで、どの音からはじめてもオクターブ間の12音の高さの関係が常に2^(n/12)、(nは始めの音からの順番)、になるように調節した音階が平均律である。平均律では音の関係がきれいな整数比にはならないが、かなり近い近似になる。
下の表はC(ド)から1オクターブ高いCまでの12音の関係(小数点以下3桁)。

音  音の順番(n)  純正調での倍数関係  純正調の倍数の値  平均律での値(2^(n/12))
C 0 1/1 1.000 1.000
C# 1 18/17 1.059 1.059
D 2 9/8 1.125 1.122
D# 3 6/5 1.200 1.189
E 4 5/4 1.250 1.260
F 5 4/3 1.333 1.335
F# 6 7/5 1.400 1.414
G 7 3/2 1.500 1.498
G# 8 8/5 1.600 1.587
A 9 5/3 1.667 1.682
A# 10 7/4 1.750 1.782
B 11 15/8 1.875 1.888
C 12 2/1 2.000 2.000

この数値は音の高さ(周波数)の比例関係だから、波長(弦の長さなど)はこの逆数で、弦の長さが半分になれば音の高さは倍、2/3になれば5度高い音、のようになる。


和音も単純な正弦波の重ね合わせなら、きっちり比例関係になっている方が響きは純粋で良いのかもしれないが、実際の楽器音にせよ、もっと複雑な波形の構造をしているから、微妙にずれていても、かえって深みのある音になるのかもしれない。DTMをやっていると、シンセで音を作る時に2つオシレーターを使う時、音のピッチをわずかにずらしておくと厚みのある音になる。