今、『神から可能世界へ 分析哲学入門・上級編』を読んでいる

今、八木沢敬『神から可能世界へ 分析哲学入門・上級編』(講談社選書メチエ)を読んでいる。最近出た本である。神の存在証明といったことを軸に可能世界論(様相論理)を論じる内容のようだ。このシリーズは、初級編、中級編も読んだが、それらに比べるとぐっと難易度が上がった感じだ。記号論理学の記号もバンバン出てくる。もはや入門とは言えないかもしれない。でもテーマが絞られているせいか以外と読み易かったりする。この著者の文体が歯切れがいいのもいい。挫折せずちゃんと理解して読み切りたい。


(追記)
ここでいう神の存在証明とは、11世紀のスコラ哲学の神学者アンセルムスの唱えた、神という最も偉大なものである思考の対象が存在する、思考の対象は実在しないものよりも実在するものの方が偉大である、ゆえに最も偉大なもの(神)は存在しなければならない。というタイプのものである。

神から可能世界へ 分析哲学入門・上級編 (講談社選書メチエ)

神から可能世界へ 分析哲学入門・上級編 (講談社選書メチエ)


(6月18日追記)
読了した。神の存在証明は導入に過ぎず、もっぱら可能世界論が論じられていた。
結論としてはこの存在証明は、もし神という最も偉大なものである思考の対象が存在するとしたら存在する、という可能世界のことを語っているににすぎないということになるらしい。そして、「存在する」ということ自体をものの性質として認めるべきか否かという未だ結論の出ていない問題に帰着するということになるようだ。


なお可能世界論(様相論理)は、

可能世界の哲学 「存在」と「自己」を考える (NHKブックス)

可能世界の哲学 「存在」と「自己」を考える (NHKブックス)

で分かり易く(といっても結構難しいが)解説されている。