自然界の四つの基本的な力にそれぞれ基づく生命形態が存在する可能性について

地球外生命体の真の姿とは? 科学的に考えてみる

の記事を読んだのですが、特に興味深かったのは最後の方の、・もっとすごい可能性 の部分。
引用してみます。

・もっとすごい可能性

地球上の全生命体は自然の基本的な4つの力のひとつである電磁気力に裏付けられていますが、そうではない、まったく異なる生態を持った生命の形が地球外に存在する可能性もあります。

4つの力の他の3つのうち、ひとつは核力(「強い力」)で、原子核とその構成要素を結びつけています。もうひとつはいわゆる「弱い力」で、放射性崩壊を起こすものです。最後のひとつは重力で、これが4つのうちもっとも弱いものです。理論上は、他の3つの力のうちのひとつが独占する環境において進化する生命体も存在しえます。


・クロモ力学・核力の生命体

これらの生命体は核力のみが支配する環境で進化します。地球上で核力が、原子核を結びつける以上にもっと強くならない理由は、その力が非常に強いにもかかわらず、10〜15メートル程度の範囲でしか有効でないためです。この環境は、ある種の天体での環境ではありうるかもしれません。特に中性子星は非常に密度が高く、高温の中性子の海とマントルがあるため、その可能性が高そうです。これらの中性子はある種の生命体にとって一種の「原始のスープ」になるのではないかと理論づけられています。


・弱い生命体

「弱い力」の生命体は想像しにくいです。この力自体ができることは少なく、何かを結びつけているわけではないためです。でも理論上、弱い生命体が環境の操作を通じて生き残る可能性はあります。というのは、その生命体が崩壊やそのプロセスに影響を与えて、結果として起こる不均衡を通じてエネルギーを得ることができれば、ということになります。


・重力生命体

重力はエネルギー源として非常に効率がよく、しかもどこにでもあります。なので、重力ベースの生命体は可能性がもっと高そうです。小さな有機体は我々と同じような方法でエネルギーを収穫できるかもしれず、重力エネルギーを風や滝、水流から変換します。もっと大きな生命体は、ブラックホールや恒星間の衝突の巨大な重力エネルギーを使うかもしれません。


地球のような通常の化学反応に基づく生命のあり方を、電磁気力に裏付けられた生命体、ととらえるわけですね。
その上で、自然界の他の力に基づく生命の可能性を考えています。


・クロモ力学・核力の生命体については、竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468) というSF小説で中性子星上の生命が描かれているのを読んだことがあります。(→)そこでは知的生命体が胡麻粒サイズの鮑に似た生き物として描写されていました。


・弱い生命体については、何かイメージしにくいですがもやっとした不定でエネルギーからエネルギーへ常に移動しているイメージでしょうか。弱い力に依存するならサイズはやはり小さいでしょう。


・重力生命体となると、サイズは超巨大化して天体サイズで銀河系サイズの生命体もありえるわけです。天体自体が比喩的な意味(地球はガイアで生き物みたいな言い方)でなく重力に基づく生命体として存在することにもなります。
『竜の卵』に描かれていた中性子星上の生命は原子核反応によるから時間尺度が地球生命の数百万倍の速さで進行する(知的生命体の一世代が数秒)のに対し、重力生命体は逆に非常にゆっくりとした尺度になって一世代が数億年などになるのでしょう。