おそろしく使い勝手が悪い水フィルター式掃除機のこと

今うちで使っている掃除機は、欧州社製のえらくごっつい水フィルター式の掃除機です。ゴミが水フィルターで濾過されるから排気は埃を含まないできれいになって出るという触れ込みの品です。もともとは、故郷にあってそれをぜんぜん使われていなかったのをうちに引き取って使っているのです。十数年前に買った当初は母などはよい掃除機を買ったと喜んでいたようですが、じきに使わなくなってしまったらしいです。
使うのがとにかく面倒だから。使い勝手が悪いから。
使うたびに水を入れたり捨てたりする手間もあるし、水を入れるゴミ受け容器からゴミを取って洗って乾かすのも手間(*注)、ノズルだのパイプだの附属品がやたらと多くて、掃除箇所によっていちいち付け替えなければならないし(そんなノズルがこれまた安定しなくて外れやすかったりもする)、図体は重くて大きくて取り回しは悪いし、そして、排気に埃が含まれないからアレルギー対策には良いとの謳い文句はあっても、肝心の吸引力は特に良くもないとなると・・・。欧米の大邸宅で使うならともかく日本の狭く段差も多い家にはおよそ向いていない掃除機だと、自分で使ってみてもつくづく思いました。さらに、大きくて部品も多いから収納場所にも困るのですよね。
日本の家では、コンパクトで部品をあれこれ取り換えなくても何にでも使えるような、細かい所にまで使えるような掃除機が、やはり一番いいですね。
母は、訪問販売の実演を見て良いと思ってこれを何十万円かで買ったらしいです。
うちの母は、年寄りが携帯電話を持つといろいろな詐欺を呼び込むことになるから便利でも持たないのが一番だ、と言うほどの用心深いような人物ですが、携帯電話は持たなくても、訪問販売で変なものを買わされていたら同じことだなと。
この捨てるに捨てられないでいた掃除機を、いま自分が意地で使っています。


うちの母は昔は賢い消費者を気取っていたようですが、人間老いてくるとやはり、と思うと、なんだか哀しいものがあります。


それにしても、日本の掃除機では、本体にコードが引っ込むようになっていたり、裏側に細かい所用のノズルが収納できたりとかするのは、まさに狭い日本の家ならではの需要によるものなのかな、と思ったりします。


(*注)
このゴミ受け容器を掃除するのが手間で、うちの母が思い付いてやっていたのが、流しの三角コーナーに入れる水切りゴミ袋に容器の水をゴミごと流す(風呂場や便所などに)やり方。これだとそれほど手間はかからなくなる。でも、掃除のたびに一々それをやらなければならないのは面倒には変わりがない。