松本清張「「静雲閣」覚書」

松本清張「「静雲閣」覚書」(『突風』(中公文庫)所収)。
日本の古典的な推理小説によくありそうな、「土蔵や座敷牢などに閉じこめる」「没落華族」「復讐」、とまさに三題噺で揃えたような話で、書きようによってはいくらでもえげつなく膨らんでいきそうなところを、そこは清張のこと、乾いて爽やかとも言える短編にあっさりとまとめている。清張作品にしては毒気が少なくてややもの足りなさもある。でも、このぐらい抑制が効いているから通俗に流れ過ぎず良いのだろう。


突風 (中公文庫)

突風 (中公文庫)