変形学生服の短ランボンタンはすでに大正時代に存在していた

不良っぽい学生(生徒)の着る変形学生服に、極端に丈の短い短ランという上着と、腿周りが極端に太く裾に行くほど極端に細くなっているボンタンというズボンがあります。たいてい短ランとボンタンはセットで着られます。短ランボンタンの起源がどこにあるかを訊ねると、すでに大正時代からそうした学生服が着られていたようです。
稲垣足穂大正14年の「鼻眼鏡」という短編に次のような記述があります。

気取っているとは云え、別に規定はずれではなかった服装が、二年生になった頃から目立って派手になって、上級の或る者がやっているような、特別生地の短い上着に、腰回りがうんと広く、その代り先のつぼまったズボンをはいて

ある中学校生徒についての記述です。
ここに述べられている服装は明らかに短ランボンタンと同じでしょう。
このようにすでに大正時代には不良っぽい学生に短ランボンタンが着られていたことが分かります。このような服装のそもそもの起源についてはまだ分りません。


変形学生服には一方、極端に丈の長い長ランという上着と、腿から裾まで一様に太いドカンというズボンがあります。たいてい長ランとドカンがセットで着られます。こちらの起源はおそらく応援団とか武道系の硬派な学生にあるようですが、いつごろまで遡るかははっきりしません。


長ランドカンが流行ったのは1970年代後半〜1980年代前半頃までで、その後、短ランボンタンが1980年代後半〜1990年代前半頃まで流行りました。それ以降はどちらも廃れて、ごくごく一部で着られているのみです。(というか、もともと不良っぽい学生のあいだだけで流行っていたわけですが)