○○難民についてのメモ

何かの事情や悪条件によって、何かをする手段や方法がなくなったり、困難な状況に置かれたりする人たちのことを、○○難民という言い方で表すことが最近多くなってきました。
それを拾ってメモ。
なんでも「難民」を付ければいいってものでもないでしょう、と思うのであまり好きな言い方ではありません。でも、「○○難民」とは一連した構造的問題である構図は見えてきます。
一つの「難民」状況は連鎖的に他の「難民」状況を引き起こしたり、ある原因から複合的にいくつもの「難民」状況に見舞われることが分ります。
ものによっては、役所などでは「○○難民」を「○○弱者」と呼ぶこともあるようですが指すことは同じです。


ネットカフェ難民・・・・仕事がない、当座の敷金礼金が払えない、保証人がいない、等の理由で住居を借りることができず、結果的に高くついてもネットカフェに寝泊まりせざるを得ない人。


買い物難民・・・・身近の、生鮮食料品や日用品など生活必需品を扱う店が潰れたりして、はるか遠くの店にまで買いに行かざるを得ない人。自家用車に頼れないお年寄りなどでは深刻な問題。特に生鮮食料品が近くで安価に買えない地域をフードデザート(食の砂漠)と言ったりもする。


・交通難民・・・・地域の公共交通機関が、不採算等の理由で廃止や削減され、移動が困難な状況に置かれている人。自家用車に頼れないお年寄りなどでは深刻な問題。


・帰宅難民・・・・大規模災害時に公共交通機関が長時間停止したり道路が不通になったりして、出先(主に都心部)から自宅に戻れなくなってしまう人。


・高層難民・・・・大規模震災などでライフラインが停止した時、高層住宅の高層階に住んでいて生活が困難になってしまう人。


・避難所難民・・・・大規模災害時に、避難所が不足してどこにも入れなくなってしまう状況の人。


・介護難民・・・・介護が必要なお年寄りなどで、介護施設から出されたり受け入れてもらえなかったりして、行き場を失ってしまう人。介護サービスを充分に受けられない状況にある人。


・医療難民・・・・病気を抱えていても、入院している病院から出されたり、受け入れてもらえなかったりして、困っている人。


出産難民・・・・出産しようとしても、近隣に出産施設がなかったり、あっても受け入れてもらえなかったりして、困っている人。


・保育難民・・・・保育が必要な子供が居るのに、手近な保育所がなかったり受入れてもらえなかったりして、困っている人。


・駐車場難民・・・・自動車やオートバイ(あるいは自転車)で出かけても駐車場がない・満車で停められないなどで、駐車場探しに苦しむ人。


・自宅難民・・・・サラリーマンの男性などが、家族に敬遠されて自宅にいてもくつろげなくなってしまっている人。


・住宅ローン難民・・・・住宅ローンの返済が困難になり、抵当としての家を競売に掛けられ失ってしまう人。


・就職難民・・・・新卒一括採用の雇用慣行のため、その機会を逃して就職が困難になっている人。


・学歴難民・・・・一流大学・大学院卒業でも、その高学歴にみあう職業に就けなかったり、高学歴ゆえに敬遠され就職しづらくなってしまっている人。


・IT難民(情報難民、デジタル難民)・・・・パソコンなどのIT機器の操作に疎く、あるいは所有していないため、インターネット上の情報やサービスに接することができない人。ブロードバンド等のインフラが未整備で利用できない地域の人。


・恋愛難民・結婚難民・・・・需要供給のアンバランスや機会がないなどで恋愛や結婚が困難になっている人。


・資格難民・・・・資格取得に熱心でもそれが仕事や就職に結びついていかない人。


・昼食難民・・・・オフィス街などで昼食時に飲食店などに人が集中し、なかなか食べられなかったり、そもそも飲食店がなく、昼食が困難な人。


・外食難民・・・・近隣に手ごろな飲食店がなく外食が困難な人。


・食事難民・・・・さまざまな事情・悪条件などから充分な栄養ある食事を撮れない状況の人。上の方のいくつかの「××難民」とも被る。


・洋服難民・・・・自分にマッチする洋服がなかなか売っていなくて困っている人。


・美容院難民・床屋難民・・・・適当な美容院や床屋がなくて困っている人。


・老後難民・年金難民・・・・年金や貯蓄が足りず、退職後の老後の生活が困難になってしまう人。


・地デジ難民・・・・テレビのアナログ放送が終了し地上デジタル放送に移行すると、受信機がなく(買えず)テレビが見れなくなってしまう人。


・携帯難民・・・・携帯電話の規格が変わったりして今までの携帯電話が使えなくなってしまう人。


・トイレ難民・・・・施設利用者数に比べて設置トイレの数が不足していてなかなか用を足せずに困っている人。または、トイレにこもって携帯電話を操作する人。トイレ自体はあっても水道電気紙などがなくてトイレの使用ができなくなる状態も言うようである。


・煙草難民(喫煙難民・灰皿難民)・・・・煙草が吸いたくても吸える場所がなくて困っている人。


・マラソン難民・・・・どのマラソン大会に申し込んでも希望者が多過ぎて抽選にもれて走れない人。


・エレベーター難民・・・・エレベーターを使いたくても見つけられなかったりなかなか乗れなかったりして困る人。


・ガソリン難民・灯油難民・・・・ガソリンスタンドの廃業などでガソリンや灯油などを手近に入手できなくなり困っている人。


とりあえずここまで。


批判されながらもいまだ猖獗をきわめている自由競争・市場原理主義新自由主義)においては、儲からない商売やサービスはやる必要はないしやれない、客が商品やサービスを選べる以上に、売る方は客を選べるし切り捨てられる、またせざるを得ない。市場は開拓するばかりでなく閉めもする。だから「○○難民」という状況が生まれるのでしょう。
市場に受け入れられないとか市場が選択するとは売る方や商品について言われることが多いのですが、利潤を上げるためなら自由市場の都合は買う方をも選択し、市場に受け入れられない(儲けとみなされない)消費者は見放されます。


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(追記)
上記のさまざまな「難民状況」を包括して「定住難民」という概念があるようです。
すなわち、住んでいる場所がどんどん不便になっていくならもっと暮らしやすい場所に引っ越せばいいというのも一つの解決法ですが、いろいろな理由(金銭的、仕事の問題、行く場所がないなど)から不便で暮らしづらいと分っている場所に留まらざるをえないことを指して「定住難民」とみなすようですが、社会的に見捨てられた人々といったニュアンスが持たされています。