津波浸水地域に住む人は税金を高くすればいい、という考え方に違和感

3.11の「喪失」〜語られなかった悲劇の教訓 吉田典史


2万人の死者で済んだことはむしろ恵まれていた?
防災学者が危ぶむ「魔法の津波対策」が語られる世相
――藤間功司・防衛大学校教授のケース


「浸水地域に住むことは、大きな津波が押し寄せたときに、たとえば、警察、消防、自衛隊を始め、他の地域の自治体などがその人たちを救うために来ることを意味する。そこには、公的な資金が投下される。浸水することがわかっているにもかかわわらず、同じところに住むならば、その方々には一定の額の税金を予め支払っていただくようにしておくことを、検討したらいいのではないか」

http://diamond.jp/articles/-/16422?page=5 (ダイヤモンドオンライン)


災害に対してまでこうした「自己責任論」的な考え方を当てはめようとするのには少々違和感がある。
いったいどこに住めばいいのか。絶対に津波が来ないような高台に住んでも地震その他の災害を免れる保証はない。結局どこに住もうが被災すれば公的な助けが必要になることに代わりはない。津波が来る海のそばの街は危険だが、東京都心部は安全といえるだろうか。関東大震災阪神大震災などの大都市型地震は巨大な被害をもたらしてきた。現在、山手線周辺に沿って狭小な木造家屋密集中地帯が有り大震災が起これば火の海焼け野原になると言われている。場所ごとの危険度に応じた税金のような考え方にしても、危険度をきちんと数値化することはきわめて困難であろう。常にそこには不確定な予知といった要素も絡んできてしまう。恣意的な定め方になってもよろしくない。
だから、どこだろうが災害が起きれば住人の自己責任として切り捨てるのではなく国が一丸となって皆で助け合うのが望ましいあり方だろう。