消費者が製品に満足したら売る方は困る

買い物をして、お客が「これはいいものを買った。一生ものだ」と思ったとしたら、売った方は嬉しいかというと必ずしもそうではないでしょう。
もちろん、「酷いものを買わされた、クズだ、もうこんな店・メーカーでは買わない」と思われるよりはいいでしょう。でも、客が満足しきってしまったら、そこで商売も終わってしまいます。
モノを作る・売る方としては、お客が満足しつつも買った瞬間から不満の種が育っていくことが望ましく、そして、しばらく使っているうちに不満が表に出てきたり、壊れ始めたりして、やがて新しいのに買い替えてくれなければ困る。このタイミング、サイクルがうまく設定されなければならなりません。パソコン関連のような新陳代謝の速い製品はそれが2〜3年ごとになるのが通常でした。お客もそれは心得ていました。
ところが最近はそういう製品もだんだんこなれてきて、製品寿命が長くなる傾向にあります。不況もあって、新型がでたといって宣伝しても、特に必要でなければ、お客だってそう易々とは飛びついてはくれなくなっています。
だから、機能的に満足しているのに、新型がでるタイミングになると不思議と故障が起きてくる、これは買い替えを促すために仕組まれた「なんとかタイマー」だと揶揄されたりもします。
新しい素晴らしい製品を開発すると同時に、それをすぐ陳腐化させて買い替えを促すことも考えなければならず、純粋にモノづくりが好きな人には、この辺の妥協ができないと、メーカーは案外向いてないかもしれませんね。