レイモンド・スマリヤン『決定不能の論理パズル ゲーデルの定理と様相論理』メモ

レイモンド・スマリヤン『決定不能の論理パズル ゲーデルの定理と様相論理』のp.23-27あたりに載っているパズルについてのメモ。解説が若干分りづらかったので表にして考えてみた。


必ず正しいことを言う騎士と間違ったことしか言わない奇人の二種類の住民が住む島がある。そこのある住民が
「もし私が騎士ならば私の妻も騎士です」
と言った。彼と彼の妻は騎士か奇人か?


これは次のような表にできる。発言を命題の真偽として考えてみるのである。

私が騎士(p) 妻が騎士(q) 発言全体(pならばq)
1
2 ×
3 ×
4 × ×

この表で1番目の、私が騎士で発言全体が正しいケースは成立する。2番目は発言全体が間違いになるが、このとき私は騎士であり、私が騎士であれば間違った発言をすることはありえないので、このケースは除外できる。また、3と4では発言全体が正しくなるが、このときは私は騎士でない(すなわち奇人)ので正しい発言をすることはありえず、これらのケースも除外できる。つまり、この島の住民の「もし私が騎士ならば私の妻も騎士です」という発言は、1の場合にしか起こりえない。すなわち、私が騎士で妻も騎士である。


同様にして、
「私が騎士ならば、そのときに限り妻も騎士です」
と言ったとする。彼と彼の妻は騎士か奇人か?


これは次のような表になる。

私が騎士(p) 妻が騎士(q) 発言全体(pならばそのときに限りq)
1
2 ×
3 ×
4 × ×

今回も同様にして1番目が成立し、2番目と4番目が除外できる。そして今回は3番目も成立する。私が騎士でなく(すなわち奇人)発言全体が間違いということはありうるからである。つまり今回は1番目か3番目のどちらかである。すなわち、私が騎士であるか奇人であるかは特定できないが、妻は騎士であることが判る。


つまり、これらは、私が騎士である(p)と発言全体が同値(○と真、×と偽)であるものを選べばよいことが分る。


決定不能の論理パズル―ゲーデルの定理と様相論理

決定不能の論理パズル―ゲーデルの定理と様相論理