新宿駅南口から甲州街道を東に下った交差点の角(新宿区新宿3-32-10)の松井ビル、九階建ての雑居ビルで、古いビルでも昭和30年代後半〜40年前半ごろの建築ではないかと思っていましたが、ネットのオフィス物件情報などに1932年竣工としているものもあり、いくら何でもそこまで古くなかろうと疑っていたところ、昭和33年(1958年)に新宿ACBというジャズ喫茶がこのビルの地下に開業したという話を見つけて、ならば、少なくともその頃までには建っていたわけで、1932年竣工説もあるいはその通りなのかもしれません。この位の規模のビルになると戦後昭和20年代のまだ物資が乏しいころよりもむしろ戦前の方が建てられた可能性が高いと思われます。
ビルの内装にしても新しくなっていて、そこまで古い痕跡はよく分からないのですけれど。
あるいはまた、1932年ではなく昭和32年竣工ではないかとも思います。
ちなみに、新宿に現存する古い商業ビルだと、伊勢丹が昭和8年築、三越(2012年以降ビックロになっているビル)が昭和4年築、です。
余談として、昔のジャズ喫茶には、レコードをかけて音楽を聴かせる店の他、バンドが出演して演奏するライブハウスの形態の店もジャズ喫茶と呼んでいて、新宿ACBはライブハウスの方だったようです。ライブハウス型のジャズ喫茶に出るバンドもジャズだけでなくポピュラー音楽全般と幅広かったようです。
(追記)
松井ビルは上から見ると平面が台形に近い形をしていて、横道に入って裏側から見ると、三階建ての別のビルのように見えるこの部分も松井ビルの一部のようです。
これならあるいは昭和20年代末頃のビルでもおかしくないので、ひょっとしたら松井ビルの本来はこの部分だけであり、後に九階建てにまで増築されたのかもしれません。
この裏側の部分の入り口(裏口?)にも年季が入ったムードがあります。
(追記2)
昭和22年に撮影した航空写真でこの場所をみると、確かに松井ビルらしき形が写っているので、そうなるとやはり昭和7年建築である可能性が高いかもしれません。
↓
「goo地図」
http://map.goo.ne.jp/map.php?st=4
(追記3)
オフィス情報によっては1958年(昭和33年)竣工としているものもあり、それならば新宿ACBの開店とも合うので、つまり、昭和7年に建てられた古いビルが建て替えられたのかもしれません。