高野山真言宗の破戒?

読売新聞の記事によると

お坊さんの婚活支援、高野山真言宗が後継者難で…他宗派注目
 高野山真言宗(総本山・金剛峯寺和歌山県高野町)が、末寺の後継ぎ確保のため、今春から、独身の男性僧侶や寺の娘に出会いの場を提供するサポート事業に乗り出した。

 同宗宗務所は「世間で『婚活』が言われる時代。僧侶がよき伴侶を見つけ、安心して寺の仕事に精進してくれれば」と期待。同様の支援は浄土真宗本願寺派でも始まっており、今後、寺の存続に悩む他宗派の注目も集めそうだ。
 高野山真言宗の末寺は約3700あるが、後継者難は年々深刻化。若い僧が同世代の女性と知り合う機会が少ないことや、地域で見合いを世話する人が減ったことなどが原因で、全国の宗務支所から「相手を紹介してほしい」との声が寄せられていた。
 サポートの対象は末寺の子女と、同宗の住職になる資格を持つ男性ら。専用のホームページ(HP)でダウンロードした登録用紙に、結婚後に住む希望地域、養子になる必要があるか、飲酒や喫煙を認めるかなどを記入させ、金剛峯寺が、条件の合う男女の間を取り持つ。後継ぎのいない寺には、他の寺の僧侶らを紹介する。
 4月にHPで告知したところ反応は上々で、登録用紙のダウンロードは100件近くにのぼっている。
 次女(31)の結婚相手を後継ぎにと考える愛媛県今治市の住職(60)は「山間部の寺の後継者探しは切迫した問題。住職がいなくなると、たちまち檀家(だんか)が困る」と話し、登録を検討中という。
 一方、浄土真宗本願寺派は2007年に縁組の支援をスタート。宗務所内に嫁や婿を探す寺院や、出会いを求める門徒の女性、男性僧侶らの資料を保管し、お見合いの希望者が意中の人を見つければ、仲介をする。これまでに4組のカップルが誕生した。
(2009年6月10日17時23分  読売新聞)


とのこと。
ひどく違和感を感じる話である。何が婚活であろうか。
僧侶はすなわち出家であろう。結婚して家庭を持つなんて本来はおかしい。明治以降僧侶の肉食妻帯が許されているといっても、あくまで国の定めがなくなったというだけで、仏教の基本まで変わったわけではあるまい。妻帯するにしてもせめてこっそりやるべきで、宗門が率先して結婚斡旋などをやるのは仏教の堕落ではないか。あくまで基本は出家である。そもそも住職が世襲の家業というのもおかしい。教義がしっかりしていれば跡継ぎなどは自然に入門してくるであろう。酒離れ、恋愛離れ、娯楽離れが言われるように禁欲的な若者が増えているのだから候補者には事欠くまい。堂々と僧侶の破戒が行われる世の中ならまさに末法という他ない。
しかも飲酒とは何ぞや。正直と言えば正直なのかもしれないが。そういえば、ある地方で生活していた時、真言宗の住職が法事で檀家の人たちに酔い潰されるのをよく見たことがある。それが現状だとしても、そういうことを異とも思わない檀家の人々にも問題はあろう。
人間にしろ僧侶にしろ、清濁合わせ持つほうがよい、なんてつもりなら甘えだし、むしろその方が一種の「キレイゴト」にすぎない。



2010年6月23日付記
この問題に関するテーマの興味深い漫画を読んだ。