ある日の昼飯、ビックリ定食とは

滅多に外食はしないのだが、いつもと違う方向へ散歩に出かけて、小さな商店街を通りかかると、家庭的なたたずまいの一軒の飲食店が、ビックリ定食(¥800)との表示を掲げているのが目に付き、食べてビックリうまくてビックリ値段にビックリなどとその掲示板に書いてあり、でも具体的に何なのかは不明で、少し興味をかられて、ちょうど昼近くだったので入ってみることにした。
店内もいかにも家庭的で、そのビックリ定食なるものを頼んで、何なのか聞くと、店主は出てのお楽しみですとか言うが、どうやら新鮮な材料をたっぷり使った海鮮丼、のようなものであることが分かった。丼なのに定食とは変だがまあこういう店だからありなのだろう。
いざ、料理が提供されほんとにビックリした。なんだこりゃ。海鮮丼にしても、小さなホタテ、マグロ赤身、サーモン、イカ、が各一切れずつに、イクラが数粒乗ったしょっぼい海鮮丼じゃないか。主人はいかに上ネタを使っているか熱弁を振るうのだがいかんせんショボすぎる。ネタが少ないからその分ご飯も少ない。丼もずいぶん小さい。食べたらビックリするよというのでとにかく醤油をつけて食べてはみると、これって新鮮なのかなあ、自分の味覚のせいかもしれないが、生きが良いというより磯臭く感じる。定食と謳うためか、小鉢二つと味噌汁がついていて、小鉢は缶詰にあるような鯖の煮付けと大根の漬け物でどちらもやたら甘ったるい、味噌汁はちょっぴりの若布だがインスタント味噌汁のような感じだ。結局ショボさにビックリさせる冗談料理なのかなあ、それにしては店主は本気っぽいけど、と思って、たいしてうまいとも思わないそれらを平らげ、どうせ二度と来ないし何か一言言いたいけど、まあどうでもいいやと思って、金を払って店を出た。
先日またその方面に散歩に行ってみたら、その店も商店街も見つからなかった。


という夢でした。