言語学

吾輩は猫でありお爺さんとお婆さんがおったのはなぜか —「は」と「が」の違い

「吾輩は猫である」 「昔々あるところにお爺さんとお婆さんがおりました」 これを 「吾輩が猫である」 「昔々あるところにお爺さんとお婆さんはおりました」 としたらどうだろうか。 独立した文としては成り立つが、物語の書き出しとしては何だか落ち着かな…

役割語

「記号的な中国人」が話す日本語の「〜ある」の起源は九州方言ではなかろうか? と以前考えてみたことがある。(→ *) こういったステレオタイプの話し方のことを言語学者の金水敏氏は「役割語」と名付けた。「役割語」の定義は次の通り。 ある特定の言葉づ…

〜にせよ、〜にしろ、という用法について その2

前に書いた「〜にせよ、〜にしろ、という用法について」で、疑問のまま残しておいたことの解決編として、再び取り上げる。 「〜にせよ」「〜にしろ」「ともあれ」「〜であれ」などの文法的性質をもう少しきちんと考察してみたい。 これらは学校文法的な枠組…

ら抜きことば、さ入れことば

「ら抜きことば」とは、受動と可能とを区別しようとする意識が働いて、たとえば、受動の場合「見られる」と言い、可能の場合「見れる」とするようになった言い方を指す。 五段活用動詞の「聞く」の場合、受動は「聞かれる」、可能は「聞ける」だが、一段活用…

客観性が言語に依存するとしたら

客観性がそれを表現する言語に依存するとしたら(言語Aと言語Bで厳密には同じ事象を表現できないことがある。どちらが客観的に表現できるかではなく厳密に同じ意味にならないということ→*1)、そして「客観性」が「中立性」の前提であるとする志向が突き…

日本で音声コマンドは普及するか?

iPhoneを「バーチャル秘書」にする「Siri」リリース iPhoneをバーチャル秘書にできるアプリ「Siri Personal Assistant」を米新興企業Siriがリリースした。iPhone 3GSをサポートし、無料でダウンロードできる。 Siriアプリでは、簡単な英語の音声コマンドを使…

オロニム oronym ぎなた読み

連なっている単語の語の切れ目の位置を誤って判断し別の意味だと解釈してしまうものをオロニム oronym という。例えば 'ice cream' と聞いて 'I scream' だと解釈するような場合。 日本語だと「ぎなた読み」がこれに似た例。(「弁慶が、なぎなたを持って」→…

仮定形と命令形の逆転や同一化

方言には、仮定形と命令形が逆になっているものや、五段活用以外の動詞でも命令形がエ段の音になっているものも存在する。 「しろ」→「すれ」(逆になっているとさらに「すれ」→「しろ」) 「来い」→「来れ」(同、「来れ」→「来い」) 「見ろ」→「見れ」 「…

命令を意味しなくても命令形で文を止める用法について

〜にせよ、〜にしろ、という用法について から続く。 「後は野となれ山となれ」といった慣用句や、「好きなようにしろ」「どうにでもなれ」といった投げやりな気分を表す言い方の場合に、「なれ」「しろ」など命令形で文を止めることがある。このような言い…

〜にせよ、〜にしろ、という用法について

〜にせよ、〜にしろ、という用法について。 「泣いて頼まれたにせよ、これは譲るわけにはいかない」 「成功するにせよ、代償も大きいだろう」 「彼が強いにせよ、俺の敵ではない」 「この本にせよ、たいして参考にならないだろう」 のように仮定や条件をあら…

生成文法を学習中

生成文法のテキストで、生成文法以外の文法論を調べ、そこで論じられている統語論が、生成文法の統語論と結局同じものの別の表現と見てよいのかあるいは全く違う概念なのか、考察してみよう、という課題が提示された。 ここから、言語学の深い海へ入って行く…

生成文法を勉強中

いま生成文法のテキストを読んでいるところだ。 生成文法では語句や文の「統語構造」を表すのに「樹形図」を用いて考察する。 この樹形図を描くのに、OS9以前の古いMacソフト、インスピレーションが使えそうなことが分った。それを古いMacエミュレーションSh…